INTERVIEW
(株)リーガロイヤルホテル東京
長谷川 奈菜 氏
都会にあり、客室はもちろん、様々な施設やサービスを提供するシティホテル。
そこで働くスタッフにも多岐にわたる知識や経験が求められます。
今回はレストラン、コールセンター、販売促進と若くして3つの部署を経験している
リーガロイヤルホテル東京の長谷川奈菜さんにインタビュー。
シティホテルで仕事をするやりがいや今後の目標などを聞きました。
シティホテルの仕事内容とは?
シティホテルの魅力は、様々な職種があることだと思います。私自身、入社前には想像もできなかった仕事に恵まれ、自分の可能性を広げられています。私の場合はレストランでの接客や電話対応、販売促進などを担当しましたが、他にも宴会場やブライダルなど、業務は多岐にわたります。私のキャリアのスタートは京料理と鉄板焼きのレストラン2店舗でした。
接客の基本から、歩き方や姿勢、器の持ち方まで、常にお客様に見られているという意識を持って仕事をしていました。入社時に接遇(おもてなし)研修がありましたが、実際の現場では先輩や上司から話し方や言葉遣いなど、細かいところまで教えていただきました。懐石料理を提供するお店だったため料理の歴史などの知識も必要で、かなり勉強しましたね。お酒についても当時私は未成年でしたが、調べて勉強し、お客様にご説明するよう心がけていました。約2年間、レストランで過ごしたことで社会人としての基礎が築けたと思います。
2年目の終わりに、新設されたコマンドチームに異動となりました。これは、お客様からの問い合わせにワンストップで対応したいという考えで作られた部署です。具体的な業務としては、内線・外線の電話対応を全て行います。1日多い時で200件を超える電話があり、レストラン予約やホテルへの問い合わせに対応します。「最寄駅はどこですか?」「レストランのメニューを教えてください」といった質問から、ルームサービスの注文、客室からの要望まで全てに対応します。コールセンター的な仕事に加えて、予約をいただくことも重要な任務でした。
メニューや営業時間など情報は常に更新されるので、日々の情報収集が欠かせません。特にコロナ禍だったこともあり、ルールが複雑化していて大変でしたが、それだけに柔軟性と冷静な判断力が培われたと思います。また、お客様に合わせて会話をする必要があるので瞬発力も鍛えられましたね。
宿泊業に入ったきっかけは?
私がホテル業界を選んだのは、もともと人と話すことが好きで、接客の仕事がしたいと思っていたからです。高校卒業で入社したのでいろいろなことを学びたいという気持ちが強く、ホテル業界を選択しました。特に今の会社を選んだ決め手は、会社見学時に見たお客様の笑顔。「この笑顔はどうやって生まれているのだろう?」と気になりました。実は高校時代は人と接しない裏方的なバイトを経験していたのですが、それがあったからこそ、自分には接客の方が向いていると気付けました。
現在は総支配人室の販売促進課でレストランを担当しています。具体的な仕事内容としては、ホームページの作成や更新、広告誌面やチラシ、POPの作成、新商品や新企画の発案やリリース発信などを行っています。1日のスケジュールで言うと、10時に出社してまずメールチェック。10時半から13時までが午前の仕事で、13時から14時が昼休憩。その後、14時から定時の18時半まで午後の仕事という流れです。基本的にはオフィスワークですが、同じフロアにあるレストランに行って話を聞くこともあります。平日勤務で土日祝日は休みを取れる環境です。
販売促進の仕事は、これまでとは全く異なります。以前は既存のものを提供する仕事でしたが、今は自分の経験を活かして、提供する商品自体を考えて広げる仕事。お客様の購買意欲をどう引き出すか?というマーケティングの視点が必要だと感じています。でも、現場経験があるからこそ見える視点を持っているのは、私の強みだと思っています。最近では、プレスリリースの配信にも慣れてきました。お客様が本当に知りたい情報は何かを考えながら作成するので、語彙力の大切さも実感しています。
仕事をしていてやりがいを感じるのは?
接客の仕事って、お客様と長時間接する機会が多いんです。だからこそ、信頼関係を築くことが何より大切だと感じています。お客様に頼っていただけるようになって、そのご要望に真摯に向き合って仕事させていただいたとき、「助かりました」「ありがとう」「また来たい」という言葉をいただけると、本当に嬉しくなります。難しいご要望をいただいたときも、単に「それは難しいです」で終わらせるのではなく、たとえそのご要望に完全には応えられない場合でも、何とか次善策を提案して満足してもらえるととても嬉しかったです。今の販売促進の仕事は文章力が重要で、日々勉強することにやりがいを感じています。文章を書くうえで、発想法や視点の変え方も磨いていかないといけません。
これまでを振り返って印象に残っているのは、コマンドチームにいたときの経験です。結婚前の両家の顔合わせをしたいという問い合わせで、お客様のご要望に一つひとつ丁寧に対応していったんです。話を重ねているうちに、お客様にとって最良の提案ができ、無事にご予約をいただけました。「わかりやすい説明でした、ありがとうございました!」とおっしゃっていただいたうえに、後で実際に接客したスタッフから「お客様、とても喜んでいたよ」と聞かされたときは本当に嬉しかったですね。電話の対応一つでホテルの印象は決まってしまいます。だから、その緊張感は常に持っていました。電話でお客様の心に寄り添うことは難しかったですが、やりがいに繋がっていました。
今後の目標は?宿泊業界を目指す方へエールを
販売促進の部署に異動してまだ日が浅いので、もっと勉強を重ねていきたいと思っています。お客様に今まで以上に喜んでいただける企画を自分たちでも考えて、魅力的に紹介したいです。ただ、自分の伝えたいことを文章にするのがまだ難しく、今の文章は自分自身拙いと感じています。マーケティングの知識も必要ですし、新しい発想も大切になってきますよね。頑張ります。
これまでお客様と接してきたなかで感じたこと、言われたことなどを思い出しながら仕事をしています。過去の経験が基になって、新しい商品のアイディアが生まれることも。チラシなども作成していますが、自分が関わったものが世に出るたびにすごく嬉しくなります。
宿泊業界は多くの人と触れ合える仕事です。たくさんの経験を積んで、それを糧としてお客様に還元できる魅力的な仕事だと思います。最初は躓くかもしれません。でも、自分自身の成長は自分の努力と意志によって達成されるものです。自分の行動や成果をしっかり振り返って、周りの方の意見も参考にすれば、必ず前に進めます。私自身、高校を卒業してすぐ何も知らないまま仕事を始めて、一つひとつ学んできただけです。だから、未経験でも全然問題ありません。むしろ、その方が素直に学べる部分もあると思います。