INTERVIEW
(株)マイステイズ・ホテル・マネジメント
伊東 昇平 氏
出張などのときによく利用されるビジネスホテル。
フロントでの対応以外にも実は、多くの業務があることをご存知でしょうか。
マルチタスクが求められるビジネスホテルの仕事の詳細について、
マイステイズ・ホテル・グループで現在、エリア総支配人を務める伊東昇平さんに聞きました。
宿泊業におけるキャリアパスの一つの事例としても注目のインタビューです。
ビジネスホテルの仕事内容とは?
ビジネスホテルは、ベルボーイや接客専属のスタッフなどを置いていないことが多いです。逆に言うと、接客以外の業務が多岐にわたるところが特徴かもしれません。2013年入社の私は入社12年目の現在、ビジネスマネジメントエリア総支配人として本社で勤務しています。4つの施設の管理・運営を担当していますが、今の仕事は以前の支配人業務の延長線上にあると言えます。
典型的な1日の流れとしては、午前中は事務処理などを行い、午後は現場に足を運んで実際のオペレーションを確認します。朝食の時間帯に現場に向かうこともありますね。基本的には平日勤務で、土日は休みを取れる体制になっています。
支配人時代の仕事内容は、例えば朝は朝食会場に足を運んで、お客様へのご挨拶とビュッフェの状況確認を行っていました。パートさんとのコミュニケーションも大切にしていて、なるべく顔を出して一言二言でも話すようにしていました。どんなお客様が泊まられているのか、数字だけでは見えない部分もしっかりチェックするよう心がけていましたね。また、コストや売り上げの管理をしたり、会議室やレストランがある施設では付帯業務も行っていました。
フロント業務はもちろん、事務所での経理作業、消耗品の発注、客室の修繕まで。さらに清掃状況のチェックなども行います。大変な面もありますが、様々な経験を積めることがやりがいにつながっています。
宿泊業に入ったきっかけは?
大学時代は新宿のホテルの中に併設された飲食店と、東京ドームでグラウンド整備のアルバイトをしていました。大学時代のアルバイト経験を振り返ってみて、「自分は接客業が向いているかもしれない」と感じていました。中でも様々な業務に取り組むことができることに魅力を感じ、当時ビジネスホテルを中心に運営をしていた弊社を選びました。
ホテル業界に詳しくなかったので、最初はフロント業務しか想像がついていなかったのですが、今の会社を知って実は客室の修繕や新規開業など、業務が多岐にわたることを知りました。それに加えて他部署でも働けるという可能性の広さ。それが弊社を選んだ大きなきっかけでしたね。
入社後は、最初に「マイステイズ新浦安コンファレンスセンター」に配属されました。その後はほぼ1年に1回のペースで異動があり、御茶ノ水、浜松町と経験を積み、「ホテルマイステイズプレミア赤坂」の開業メンバーとして参加。そこで初めてシニアスタッフという役職に就いたんです。その後、「MyCUBE by MYSTAYS浅草蔵前」でカプセルホテル業態のサービスを経験した後、客室の売上を最大化させるための部署であるレベニューマネジメント部門に異動しました。一時期は家庭の事情で在宅勤務をさせてもらったこともありましたが、その2年後、赤坂で現場に復帰し、新浦安で支配人を務めることになりました。
仕事をしていてやりがいを感じるのは?
接客時にお客様から直接感謝の言葉をいただいたときはもちろんですが、新規開業ホテルのオープン日を迎えたときは感無量でしたね。最近では特に人材育成に力を入れています。CS(顧客満足)だけでなく、ES(従業員満足)も重視していて、指導したスタッフが異動後に、「あのとき教えてもらったことが役に立っています」と連絡をくれることがあるんです。これからはマネージャーの育成にも注力していきたいと考えています。
弊社には会議室併設のホテルやレストラン併設、フルサービス、リゾート・温泉、カプセルホテルまで、様々な業態があります。例えばカプセルホテルの場合、宿泊単価を上げることが難しい特徴があります。そのため、いかに支出を抑えるか、限られた単価に見合った費用の使い方を考えることが重要になってきます。
また、会議室併設の施設では集客の難しさがあり、本社のエージェントチームと連携を取りながら業務に取り組みます。このように、施設ごとに業務内容がかなり異なるため、いくつもの施設を経験し視野が広がったことで、対応出来る業務の幅が広がりましたね。新浦安では、当初レストラン業務を他社に委託していたものを直営に切り替えました。飲食部門を直営で運営することも、大きな学びになりました。業務が多岐にわたるので、やりがいを感じる場面は本当に様々です。
今後の目標は?宿泊業界を目指す方へエールを
今はエリア総支配人として、周りに認められる存在になることが目標です。現在4店舗を担当していますが、多い方だと10店舗ほど担当されていらっしゃいます。私も担当店舗を増やしていきたいですね。最初に配属された新浦安の規模も以前は大きいと感じていましたが、弊社の事業拡大とともに今ではそうとは言えません。将来的にはより大きなリゾート施設にも関わっていきたいと考えています。
特に力を入れたいのは、より多くのスタッフに学びの機会を提供することです。ビジネスホテルは最小限の人員配置で運営されることが多いという傾向があります。これからは、従業員一人ひとりが何を学びたいのかをしっかり聞いて、できる限り勉強会なども実施していきたい。仕事を重ねていくなかで、そういった責任感が芽生えてきたんです。
インバウンドが大きな伸びを見せていて、この業界は今後も成長が期待できます。ビジネス利用だけでなく、レジャー需要も伸びています。ホテル業界は、専門的なキャリアを築きたい人も、幅広く様々なことを学びたい人も、どちらも機会が得られる業界です。そういう意味で、新しくこの業界に入って来られる方にとって、安心して飛び込み成長することが出来る業界だと思います。